ディズニーダラー鑑定の歴史:PCGSとPMGから見る鑑定会社の変遷
ディズニーダラーの鑑定品というと、
現在は PMGが事実上のスタンダードですが、実はこれだけではありません。
市場には PMG・PCGS CURRENCY・PCGS Banknote
という “3種類の鑑定ホルダー” が存在しており、
その背景には鑑定会社の複雑な歴史があります。

本記事では、その中で近年シェアを伸ばし始めている PCGS(Professional Coin Grading Service) の成り立ちと変遷を軸に、ディズニーダラー鑑定の情報を整理します。
PCGSとPMGはいずれも「コイン鑑定」から始まった鑑定機関
現在、紙幣鑑定の世界では PMG が広く知られていますが、その母体であった NGC(Numismatic Guaranty Company) も、もともとは PCGSと同じ “コイン鑑定” からスタートした企業です。
PCGSは1986年、アメリカの著名ディーラーたちが集まって誕生し、「第三者鑑定」「封入ホルダー」「統一基準」という今の鑑定文化を作りました。
その後、1987年にPCGSの創設に関わったメンバーによりNGCが設立されます。
このように、PMGとPCGSは、
どちらも1980年代の「コイン鑑定の革命」から生まれた会社であり、NGC(PMG)とPCGS が、後に “紙幣鑑定” でも競合する関係になっていく――
という流れが存在します。
PCGSは事業多角化のため「Collectors Universe」を設立
PCGSはコイン鑑定の成功を背景に、鑑定ビジネス全体を統合するため1999年に誕生したのが
Collectors Universe(コレクターズ・ユニバース) です。
PCGSはその傘下に入り、鑑定グループの中心ブランドとなりました。
Collectors Universe の中で特に有名なのは PSA(Professional Sports Authenticator)。
- ポケカ
- MLBカード
- NBAカード
- マジック:ザ・ギャザリング
など、カード鑑定の世界標準として知られています。
PSA の“封入+鑑定”モデルはPCGSコイン鑑定が起源
つまり、カード鑑定で一般化した「封入ホルダー」「グレード」「ポップレポート」は、元々 PCGS がコイン鑑定で確立したものなのです。
紙幣鑑定のPCGSは「PCGS CURRENCY」という別会社が運営していた
ここから話が少し複雑になります。
PCGSには2005年頃から紙幣鑑定部門がありましたが、当初この部門は PCGS本体の運営ではありませんでした。
外部の別会社が “PCGSブランドを借りて” 紙幣を鑑定
この外部会社が
「PCGS CURRENCY」 の名称で紙幣鑑定を行い、2010年頃からディズニーダラーの鑑定も開始。
(PMGもほぼ同時期にディズニーダラーの鑑定を開始)
初期の鑑定済ディズニーダラーの多くには「PCGS CURRENCY」のラベルが付いています。

2019年:PCGSとの契約終了 → 「Legacy Currency Grading」へ改名
2019年、PCGS(Collectors Universe)とこの外部会社との契約が終了。
その結果:
- PCGSのブランド利用権が終了
- PCGS CURRENCY → Legacy Currency Grading に名称変更
- PCGS本体とは別の鑑定機関として継続
但し、Legacy Currency Grading の鑑定品を見かけることは殆どなく、公式サイトは存在するものの現在も業務を行なっているのかどうかはっきりしません。

PCGSは自社ブランド「PCGS Banknote」で紙幣鑑定を再スタート
契約終了後、PCGS本体は
自社運営の紙幣鑑定部門 「PCGS Banknote」 を新設。

PCGS Banknote の鑑定ラベル
これは PCGSが自前で紙幣鑑定を行う部門 であり、PCGS Currency(Legacy Currency)とは関係がありません。
PCGS Currency と PCGS Banknote は“完全に別物”
名前が似ているため誤解されがちですが、上述のとおり両社は全く別の鑑定機関です。
そのため、以下のような事例が確認されています。
・PCGS CURRENCY の鑑定番号をPCGSの公式サイト(Cert Verification)に入力してもヒットしない
・PCGS CURRENCY鑑定の紙幣を再鑑定する場合、グレードの保証がない(グレードがダウンする可能性あり)
まとめると、市場に出回る主なディズニーダラー鑑定品は次の3種です。
・ PMG
・ PCGS CURRENCY(〜2019)
・ PCGS BANKNOTE(2019〜)
この3種類の存在が、ディズニーダラー鑑定の“歴史性”と“複雑さ”を物語っています。
PMG・PCGS 以外の鑑定品を避けた方が良い理由
〜公正な鑑定とマイナー鑑定会社のセルフグレーディング〜
オークションなどでは、PMG や PCGS 以外の鑑定機関のケースに出くわすことがあります。
一見するとそれらしい鑑定品のように見えますが、結論から言えば——
PMG と PCGS 以外の鑑定品は避けた方が安全です。
その理由ですが、
PMGやPCGS は鑑定士の利益相反を徹底して排除している
PMG や PCGS が “国際標準” とされる最大の理由は、鑑定の公正性を守るための厳しい内部規定にあります。
- 鑑定士は個人的にコインを売買してはならない
- 自分の持つコインを鑑定に出すことも禁止
- 市場で鑑定対象に利害を持つことが禁止
といった強固な「利益相反ルール」が定められています。
これは、
「鑑定士が私的利益のためにグレードを操作しないようにするため」
という非常に重要な仕組みです。
マイナー鑑定会社には“自作自演の鑑定”が存在する
一方で小規模・無名の鑑定会社の中には、
「自社の在庫を自分で鑑定し、高いグレードを付けて販売する」いわゆるセルフグレーディングを行っているケースがあります。
このような鑑定機関による鑑定品について市場は信頼に足るものではないと判断し、未鑑定品と同じ扱いを受けます。
ディズニーダラーの鑑定は PMG または PCGS の2択
鑑定品を買うときに大切なのは、
- 誰が鑑定したのか?
- その鑑定が市場で信用されているか?
- 価値が担保されているか?
という点です。
そしてこの条件を満たす鑑定機関は、現在の市場では PMG と PCGS だけなのです。