日本と縁の深い、元イマジニアの知られざる足跡

ファンタジースプリングスホテルに飾られている絵画

東京ディズニーシーのファンタジースプリングスホテルを訪れて気づかれた方もいるかと思いますが、ラウンジ「グランパラディ・ラウンジ」の傍に、1枚の絵が飾られています。

ディズニーランドのシンデレラ城と、シーのプロメテウス火山。そして中央には、ウォルト・ディズニーとミッキー。

隅には「Tokyo Disneyland Resort 40th Anniversary 2023」「Robison」と記されています。

作者は、元イマジニアのアーティスト

この絵を描いたのは、Eric Robison (エリック・ロビソン)という人物。多くのディズニーアートを手がけているアーティストです。

ロビソン氏は、ディズニー公認のディズニーアート、いわゆる「Disney Fine Art」を制作するアーティストの一人。

多くの Disney Fine Art アーティストが作品を制作していますが、その中でロビソン氏が他のアーティストと違う特徴があります。
それは、元ディズニーのスタッフ、「元イマジニア」であるということ。

ロビソン氏は、もともとWalt Disney Imagineering (WDI) でショーコンセプトデザイナーとして働いており、1980年代、ディズニーパークのプロジェクトに携わっていました。

転機が訪れたのは1989年。ウォルト亡き後のイマジニアリングを率いたMarty Sklar(マーティ・スカラー)に才能を見出され、そこからアーティストとしての道を本格的に歩み始めます。

一般的な Disney Fine Art アートは、外部の画家やイラストレーターがライセンスを受けて作品を発表するケースがほとんど。一方、ロビソン氏は、ディズニーの内側から作っていた人と言えます。

元イマジニアだからこその、2つのエピソード

「元イマジニア」だからこそ——そう感じさせるエピソードが、ロビソン氏には2つあります。。

エピソード①:東京ディズニーリゾートとの繋がり

ロビソン氏は以前から東京ディズニーリゾート(ランド)向けの作品を提供しています。

1993年、東京ディズニーランド10周年を記念した公式リトグラフの原画を、WDI を通じて彼が手がけていました。シンデレラ城を中心に、色とりどりのゲストたちが描かれた一枚です。

【Heritage Auctionsのサイト】
https://ha.com/7393*17288

そして2023年。WDI は再びロビソン氏に東京ディズニーリゾート40周年記念の作品を依頼します。それが、最初にご紹介したファンタジースプリングスホテルにある絵です。

つまりロビソン氏は、東京ディズニーリゾートの「10周年」と「40周年」という二つの大きな節目に、ディズニー(WDI)を通じて作品を提供してきたアーティストであり、元イマジニアとしてのキャリアがあったからこそ実現した仕事、と言えそうです。

【Walt Disney Imagineeringのインスタグラム】
https://www.instagram.com/p/CrGwjTwOsEd

エピソード②:2002年「One Hundred Mickeys」への参加

もうひとつのエピソードは、2002年にアメリカのディズニーランドで開催されたイベント『One Hundred Mickeys』です。

ウォルト・ディズニー生誕100周年を記念し、ディズニー社からの依頼で実現した企画。会場となったのは、ディズニーランドのニューオーリンズ・スクエアにあるDisney Galleryでした。

ディズニー社からこのイベントの為に100パターンのミッキーの絵を依頼されたロビソン氏は、カリブ海の小島に籠って制作を開始、最初の2週間で21枚を完成させたものの、最終的に全て描き上げたのは16ヶ月後だったそうです。

The Sorcerer & The Apprentice

その100パターンのミッキーの中に『The Apprentice』というタイトルの作品があります。

https://ericrobisonart.com/one-hundred-mickeys
※051の作品

ディズニー側はこの『The Apprentice』を選び、ディズニー・レジェンドであり「ミッキーの公式肖像画家」とも呼ばれるJohn Hench (ジョン・ヘンチ)が1995年に描いた『The Sorcerer』と組み合わせます。

こうして誕生した作品が『The Sorcerer & The Apprentice』(魔法使いと弟子)です。

タイトルは『ファンタジア』の「魔法使いの弟子」を意味する一方で、ディズニーの巨匠 John Henchと、元イマジニアで次世代アーティストとして活躍していた Eric Robison の関係を象徴しているようにも見えます。

完成した作品は、Disney Gallery限定の200部限定リトグラフ(両名のサイン入り)として販売され、さらに限定ピンも制作されました。

まとめ

日本ではまだまだ馴染みのない Eric Robison ですが、改めて整理すると、

  • 元イマジニア
  • Disney Galleryを代表するアーティスト
  • 東京ディズニーランド10周年記念アート担当
  • 東京ディズニーリゾート40周年記念アート担当

というユニークな経歴の持ち主だということがわかります。

ファンタジースプリングスホテルに飾られた一枚の絵をきっかけに調べてみたら、東京ディズニーリゾートと30年以上関わり続けてきたアーティストの姿が見えてきました。

パークの歴史やイマジニアリングに興味がある方は、ぜひ「Eric Robison」という名前、頭の片隅に置いておいてください。きっとどこかでまた出会うはずです。

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